『習慣力』シリーズ20万部以上の著者三浦将さんとは?
“早く行くなら一人で行け、遠くへ行くならみんなで行け”
潜在能力を発揮させる「強度」と「頻度」
「強度」をかけるイベントやコーチング
1週間何をしているかが、その人の人生
人が習慣化できない理由
コーチングにおける究極の質問
イチローの習慣に関する考え方
自分の強みを知る用法
自分の強みに気づいた後の大事なこと
無駄を覚悟でやる
「自分で変わったんだ」を起こす最高のサポート
一流の人とは?
いいコミュニティを作るには?
幸せの3原則

『自分を変える習慣力』著者三浦 将さんとは?

【三浦 将さんプロフィール】

大手広告会社、外資系企業を経て、「月曜の朝、元気に仕事に向かう人たちをこの社会に増やす」を存在目的に人材育成コンサルティングや企業研修を行う、株式会社チームダイナミクスを設立。

「従業員のコミュニケーションの質が企業を変える」の観点から、アドラー心理学やコーチングコミュニケーションを基にした独創的かつ効果的な手法で、リーダーシップ開発、チームビルディング、社内コーチ養成プログラムなどを中心に、企業の人材育成、組織開発をサポートしている。

参加者に「できればもっと早く受けたかった!」と言わしめるコミュニケーション研修は、実に100%のリピート発注率を誇る。習慣化の専門家として、研修後における研修内容の習慣化、行動定着化の確かな実績にも定評がある。
著書「自分を変える習慣力」「相手を変える習慣力」(ともにクロスメディアパブリッシング)は、累計20万部を越える大ヒットとなっている。

人々がその“潜在力”を発揮して、より大きなスケールの活躍をしていただくための、“習慣力”についての講演や研修も、全国で精力的に展開している。

【著書】『自分を変える習慣力 』

【公式HP】三浦将オフィシャルウェブ

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小林 : こんにちは、小林正弥です。今回は著者インタビューということで、習慣のエキスパート三浦将さんにお話を伺います。よろしくお願いします。

三浦 : よろしくお願いします。

小林 : 三浦将さんのことを、僕から簡単にご紹介させていただきます。『習慣力』のシリーズが今20万部以上出て、ベストセラーになっています。昨日、東京駅の丸善に行きましたが、面で並んでいました。企業のコンサルティングやコーチングもされています。僕自身が、自分の人生で結果を出して、その結果の出し方を人に教えていくという一貫したメッセージを出していますが、習慣という切り口から、どうやって自分の人生で結果を出していくのか、どうやって人の結果をサポートしていくのかについて、深く伺っていきたいと思います。

まず、三浦将さんのご経歴でいくと、イギリスの理系の大学院を卒業されたり、外資系企業のマーケティングで活躍されてきたりという、バリバリの左脳系の印象ですが、なぜ習慣ということをテーマに活動されることになったのかについて、教えてください。

三浦 : 今、いろいろなことをやっていますが、軸にはメンタルコーチングというものがあります。もともとマーケティングの仕事で、何十人も部下を抱えていたんですが、なかなかチーム力を発揮できず、結果を出すことが難しくて、部下に恨まれるぐらいのこともありました。

小林 : お人柄からは全然想像できないですが。

三浦 : 僕はアドラー心理学をやっていて、アドラー心理学では「人をものとして見る」というのと、「人を人で見る」という考え方があるんですが、そういう意味でいくと、当時の僕は人をものとして見ていました。すごく冷たい言い方をすると、部下は自分が業績をあげる道具だという、そんなぐらいの感覚に近かったと思います。だから当然部下もついてこないし、全体の業績も上がらないし、そもそもその頃、自分がマーケティングに対する興味が薄れていたというのもありました。

そういう中でうまくいかなくなって、ようやく根本的なことが何か違うことに気付きました。自分は経営学を学んでやってきているのにうまくいかない。いかに人に力を発揮してお手伝いをするかというのが、リーダーの仕事だという簡単なことにずっと気付かずにやっていたわけです。そういう状態になってやっと気付いて、コーチングを学び始めました。

小林 : コーチングを学び始めて、部下やチームとの関わりに、どんな変化が起こってきましたか。

三浦 : いかに自分が人やチームとの関係がうまくいかないかという、悪いお手本をずっとやっていたことがよく分かりました。部下であれば、部下にプレッシャーをかけて仕事をさせる。普通の会社でも行われていることですが、これがいかに愚かなことかということがよく分かってきて、プレッシャーをかけるのではなく、その人の本来の力を引き出すために、どういうアプローチをすればいいのかということを、コーチングを通じて学びました。

“早く行くなら一人で行け、遠くへ行くならみんなで行け”

小林 : 社名もチームダイナミクスですが、その前提にはチームで成果を上げたいという思いがあったんですか?ある意味、それだけお一人でプロフェッショナルであれば、チームを持たずにパフォーマンスを上げることもできると思いますが、あえてうまくいかなかったことに向かっていったというのは、何かあったんですか。

三浦 : 一人でやれることには限界があって、チームで達成できるものは全く違ってきます。アフリカのことわざに、“早く行くなら一人で行け、遠くへ行くならみんなで行け”というのがあって、これはダボス会議で言った言葉だと思いますが、要は一人で優秀だと早く行けるけど、到達できるところは限られている。でもみんなで行くと、いろんな煩わしいことや、いろんな大変なことがあるから、なかなか早く行けないけど、みんなで行くと想像していなかったほどの遠いところに到達できるということが起こるわけです。

コーチングを学んで最後の数年間というのは、自分はほとんど何もしていなくても、部下が力を発揮できるように集中してやっていると、勝手に業績が2倍、3倍になっていきました。しかもチームがハッピーなわけです。そんなことをやっていたら、それがいつの間にか自分の仕事になっていました。そういうことを実現するお手伝いをしようということで、コーチングをしたり、企業の研修をするようになり、自分の主軸になっていきました。

潜在能力を発揮させる「強度」と「頻度」

小林 : メンタルコーチングの中の一部に“習慣力”というキーワードがあるのかと思いますが、習慣力というのは、人のパフォーマンスを上げていくことに、どういうふうに重要なんですか。

三浦 : 人の潜在能力を発揮させるお手伝いをするのが、僕の仕事で、そのためには大きな変化が必要です。変化を起こすためには、何が重要かというところです。大きくは二つあって、強度と頻度という言い方をします。強度というのは、割合短期間で人の変化が起こることをやるということです。これがいわゆるコーチングです。60分や90分という時間単位で、バッと人の変化を生み出します。

これはクライアントとの共同作業になりますが、その人の人生を変えるような気付きが、そのぐらいの時間単位で生まれたりします。ものの見方がバッと変わったり、変な思い込みがバッと外れたり、人によってはトラウマがバッと消えたりということができるスキルと経験が、コーチとしてあるわけです。

小林 : それは三浦さん特有のものですか。

三浦 : コーチならできますが、コーチによってそれがどのぐらいできるのかというのはあります。自分の場合は、そこに強みがあるということがようやく分かりました。短期間で人の変化を生み出すという才能が自分にあるなと感じてプロになりました。もちろん鍛錬しましたが、そういうことができています。コーチングはコーチによって非常に差がありますが、そこにおいてはかなり自信を持つことができている状態です。

小林 : コーチングの60分、90分の中で起こるのは、内的な変化ですか。

三浦 : そうです。

小林 : 内的な変化がコーチングの中で起こって、実社会に戻ったときに外的な変化も時間差で起こるという感じですか。

三浦 : そういうことが起こりますね。

「強度」をかけるイベントやコーチング

小林 : 強度というと、圧をかけるように聞こえますが、どうやればいいですか。

三浦 :何かイベントで人が変わることもあります。極端な話をすると、大地震みたいなことがあると、人の価値観や観念がバッと変わりますよね。それが強度です。一瞬のうちに変化が起こるものです。日本人で初めて宇宙飛行士になった秋山さんが、宇宙に行ったらバッと価値観が変わって、農業をやり始めたみたいな、そういうことが起こります。

コーチングは、2週間に1回、1カ月に1回のように継続的に行われるので、点で強度が打たれますが、大事なのはその間です。

1週間何をしているかが、その人の人生

三浦 : コーチとはいえ、クライアントと一緒にいられる時間は、クライアントの時間の0.何パーセントなわけですから、この間にクライアントがどういうことをやるかというのが、重要になってきます。ここが頻度として大事なので、コーチングと習慣を組み合わせることがベストだということで、習慣というものに取り組んでいます。

小林 : ダイエットで、コーチの前でいくら制限したり筋トレしても、その間の日常で、食事などを自分で習慣化できない限りは変わらないし、変化も一時のものになりますよね。

三浦 : そこを両方やらなければいけません。医療で例えると、西洋医学は手術で直す、これは強度です。でも手術をしても、お酒を飲みすぎたり、油っぽいものを食べたりということをしていたら、延々と健康になりませんよね。

悪くなると薬を飲む、悪くなると手術をするというのでは、健康にならないので、そこには東洋医学や食習慣のコンビネーションが必要になります。なので習慣というものをコンビネーションでやっていくことが、クライアントに一番貢献できるということで、コーチングとともに習慣というものを極めていこうということです。

小林 : 僕の専門のフィールドは教育ですが、教育も一段進化しないといけないタイミングに来ていると思います。マルクスの墓石にも、「現実を変革していく知性が大事だ」と書かれていますが、ダイエットの場合も、痩せないと健康を害しますよと教わったとしても、日常を変革していくことができなければ何も変わらない。習慣というのが、ものすごくキーワードになるのかなと今、聞いていて思いました。

三浦 : 1週間何をしているかというのが、その人の人生であり、その人を表すので、そこでどういう良い習慣を持っているのか、好ましくない習慣を持っているのかというところで、その人の人生のクオリティーが決まってきます。

小林 : 部下のマネジメントのときにも、この習慣というものを導入していたんですか。

三浦 : コーチングの中で、習慣的にやるということはありましたが、習慣力みたいな突き詰め方はまだしていませんでした。その後プロになって、クライアントにより貢献するために何ができるだろうというところでやり始めて、しかも強度の部分は本にしづらいけど、習慣は本で伝えられることがすごくあるので、本にしました。

小林 : 三浦さんが習慣力というふうに定義したり、身につけることを体系化されたのは、ある種イノベーション的なことだと思います。僕の中でコーチングというものは、ふわっとしたものという認識でしたが、習慣力というキーワードがコーチングに掛け算されたことによって、非常に現実を変えるパワーを帯びたという印象を受けました。

三浦 : 強度というコーチングの気付きというのは、中の大きな変化が起こるわけです。思い込みが書き換わったり、態度変容が起こるけど、これが行動変容に結びつくかどうかがすごく大事で、気付いて終わりだと何の意味もなくて、そこからそれを行動化していかないといけない。人に「これ、やったほうがいい」と言われたことよりも、自分で気付いたことは習慣化、行動化しやすいので、気付いたものを実際に頻度にしていくというのは最強のパターンになります。

人が習慣化できない理由

小林 : 習慣が大事だということは、皆さん分かっていると思いますが、なぜ人が習慣化できないのか、どうやったらできるのかについてお願いします。

三浦 : 習慣化できないというのは、本気で習慣化したいと思ってないからです。人間は、基本的に変化を嫌います。変化することに対して、潜在意識レベルで恐怖があるので、「本当に変わりたい」ということをきっちり認識していなければ、変化をしないための行動をしてしまいます。

小林 : 無意識の自己防衛。

三浦 : 一番大切なことは、変化を本気でしたいと思う状態になること。コーチングでそれをパッと見つけるというのも一つです。もう一つは、本当の目的を追求していくということです。英語をビジネスレベルで話せるようになりたいという人がいたら、その本当の目的を分かっていないと、なかなか英語はできません。挫折する人はいっぱいいるし、TOEICの点数を上げたいと思っていても、上げられない人はいっぱいいます。

何のために英語を勉強するのか。それでやりたいことがかなったら、その後さらに何をやりたいのか。それがかなったら、さらに何をやりたいのか。いわゆる自分の中の最上レベルの目的意識、そこにコミットできるかどうかが一番大きなところです。そこにコミットすると、人間は本気で変わるというスイッチが入るので、潜在意識の抵抗も受けづらくなります。

コーチングにおける究極の質問

小林 : 先ほどの強度とおっしゃいましたけど、それも相手の本当の目的というところにアプローチしていくものですか。

三浦 : そうです。コーチングにはいろいろなものがありますが、「一つだけ、一番重要な質問を教えてください」と言われたら、「あなたが本当にやりたいことは何ですか」シンプルですが、これが一番の究極の質問です。1000人に聞いて、答えられる人が1人いるかどうかの確率だと思います。1000人いても、明確に答えられる人はいないかもしれない。そういうものを見つけていくということです。

小林 : 日本の教育自体が、答えのない問いを問い続けることをやってこなかったんですね。答えはすでにあって、回答方法ですら決められている(笑)

三浦 : それをきっちりできる人間が、偏差値の高い大学に行けるというシステムですよね。

小林 : 0.1パーセントの人ぐらいしか答えられないぐらいの、シンプルだけど最も難しい問いの答えを見つけるには、どうすればいいんでしょうか。

三浦 : まず、問い続けること、やめないこと。問い続けながら、チャレンジをし続けて、その中から見つけるしかない。コーチングで出てくる答えは、レベルは高いですが究極ではありません。「究極の答えが欲しい」という人がいますが、僕は「それをコーチングには求めないでください」とはっきり言います。

コーチングは、それを知るきっかけにはなりますが、結局は自分が人生の中でチャレンジして、あがいて、いろんな経験をして、感じて知っていくものだし、そうやって自分がつかまないと何の価値もないという話になります。

小林 : 自分の幸せや成功を自分なりのやり方でかなえていく、そのプロセス自体が人生だと僕は思っていますが、すごく大事なことですよね。

イチローの習慣に関する考え方

三浦 : 習慣化するためにどうしたらいいかということで、目的を知るということがありましたが、もう一つが今のお話の中にあって、なんでも簡単にやろうとしないということです。本当の目的を知りたいといったときに、コーチに何万円というお金を出して「すぐ知りたい」というようなインスタントな考え方が、習慣をつけさせないことになります。

小林 : すごく大事なメッセージですね。

三浦 : こうやるとこういう結果が出る、ということを人間は追い求めてしまいがちです。要は、楽したいわけです。すぐに結果を求めることは、実は習慣化を阻むものです。ダイエットをやって、3日後に1キロ痩せていることを求めるとどうなりますか。そうすると、無理するわけです。最初は鼻息荒いからいいですよ。「今日は夕ご飯やめよう」「いつもの半分にしよう」「ジムで10キロ走ろう」とか、そういうことがずっと続けられますかということです。短期的な結果を求めると極端になります。TOEICを取りたい人は、最初1日2時間も3時間も勉強する。3日目には10分も勉強しなくなる。習慣化できないんです。

小林 : 挫折しやすいですよね。

三浦 : とにかく習慣をつけるためには、自分ができることを続けるということです。続けられることを続けていけば、続けられるハードルは徐々に上がっていきます。最初から高いハードルを飛ぼうとすると、人によっては嫌になってしまうんです。嫌のものを続けられますかということです。

小林 : 地獄みたいな道を歩まなくてもいいですよね。

三浦 : イチローが引退会見のときに言ってたことですが、言い方は少し違うかもしれませんが、「自分は続けられない人間なんだ。だからやれることしかやらない。僕はやれることをやってるんです」と言ってて、すごいなと思いました。あの人はやれることを欠かさずやってるわけです。あの人は習慣力の権化なので、自分ができることをやり続けて、できることのハードルを何年もかけて上げ続けてきた人です。それで世界の頂点に行った人です。

小林 : 僕はあるとき先輩に、「お前がやっていることは、割りばしを握って筋トレしているようなものだ。負荷のかからないことをずっとやったところで、全然仕事のキャリアは伸びない」と言われたことがあります。イチロー選手も「やれることしかできない」という中でも、そのレベルを徐々に上げていったからこそ、世界的なスターになったと思うんですよね。

自分の強みを知る用法

小林 : ここから次の話で、自分の強みや潜在能力を習慣の中で伸ばしていって、キャリアや人生をどう開いていくのか、自分の高め方について教えてください。

三浦 : 強みは何かといったときに、自分では分からないことが多いです。私も自分がコーチングをできるとは、想像もしていませんでした。だけど昔の上司に「コーチになりました」と報告したら、「めちゃくちゃ合ってると思う」と言われました。

小林 : 周りは知っていたということですね。

三浦 : この仕事で講演や研修をやっていて、皆さんに「声がいいですね」とよく言われます。コーチングをやっていても、「三浦さんの声を聞いていると、すごく安心して、いろんな気付きが起こります」と言われるんですが、私はずっと子どもの頃から自分の声が嫌いでした。

小林 : コンプレックスだったんですか。

三浦 : コンプレックスまではいきませんが、好きではなかったです。まさかこれが自分の武器になるとは思わなかった。でも人に言わせると、「昔からそう思ってたよ」と言う人もいるわけです。だから周りに聞いてみるというのも、大事なことだと思います。

小林 : そもそも強みが何かを認識しないと、伸ばしようがないですよね。それは自分ではなかなか気付けない。

三浦 : ポジティブフィードバックというものを、よくやってもらいます。ポジティブフィードバックは何かというと、「いいことは何か、教えてください」、それを10人ぐらいに聞きます。そうするといろんなことが返ってきます。その中にヒントがあります。

例えば僕はマーケティングをやっていたので、リサーチが得意なんですが、リサーチの中には定性調査と定量調査があります。僕はイギリスの修士論文でも定量調査をやったので、それが得意だとずっと思っていたんですが、ポジティブフィードバックをすると、「三浦の場合は定量調査もいいけど、定性の分析の切り口にものすごくセンスを感じる」と言われて、自分で意外に感じました。定性調査で何人かにグループインタビューをするようなものがあって、そのモデレーターをやっていました。「モデレーターをやっているお前は、すごく生き生きしている」ということも言われました。すごく意外でしたが、今はモデレーターに近いようなことを仕事にしているわけです。強みというのは自分が認識していないだけで、周りが分かっているケースがすごくあります。

小林 : 『自分を変える習慣力』の中に、習慣には四つのステップがあると書かれています。無意識から始まって、次が意識の状態、知っているけどできていない状態。次が意識して頑張ってできる状態。最終的に無意識でやっているのが習慣のレベル。無意識でやっていることだから、自分では気付きにくいということもあるんでしょうか。

三浦 : ありますね。いわゆるそれが天才性といわれるもの。天才というのは、自分がやっていることを、なかなか説明できなかったりします。

小林 : 長嶋茂雄さん(笑)

三浦 : そうそう。「腰をバーンと出せ」と言われても、それは長嶋しか理解していないことで、他の人が聞いても分からないですよね。イチローは「僕は天才ではない」と何回もインタビューで言ってます。「なぜならば、なぜ打てるかというメカニズムを僕は分かっているから。天才というのは、それを自然にできる人が天才だ」という言い方をしています。

才能というのは、自分が無意識のうちにできていることにあるというのは事実だと思います。無意識だから、自分が特別だと思わない。みんなできるものだと思っている。だから他人からのフィードバックは大事です。無意識にできてしまっているから、自分では分からない。

小林 : 強みの反対が弱みだとしたら、相対的なものなのかと思いましたが、だからこそ他者からフィードバックをもらうことで、自分の強みに気付けるのかなと思いました。

自分の強みに気づいた後の大事なこと

三浦 : フィードバックをもらって、そこからが大事です。一つは、そのことを素直に受け入れるということです。

小林 : 受け入れられない人が多いということですか。

三浦 : 「そんなこと、別に特別なことじゃないと思う」とか、自分の強みと思わない。そうではなくて、「ああ、そうなんだ。これが自分の強みなんだ」と素直に受け入れることが大事です。「そんなことできても、何もならないでしょ」みたいなこともあります。一回受け入れて、これは何に使えるだろう、どうやって人に貢献できるだろうということを考える。

もう一つは、そのことでどう役に立つのかを考えながら、そういうことをやっている自分が楽しいかどうかというところです。例えば僕の場合、声のことを言われて「いやあ、そんなことない。昔からこの声が嫌いで」と言ってしまったら、そこで終わりです。でも、「ああ、そうなんだ。そういうふうに捉えるのか。じゃあ、声というものが役に立つことってなんだろう」とやってみるわけです。

何かを教えるとか、伝えるとか、対人で何かをやるとか、いろんなパターンをやってみて、そういうことをやっている自分が楽しいと思うかどうか。多くの人を前にいろんなことを伝えるということを自分が想像してみて、「これ、楽しいかもしれない」「面白いかもしれない」と思えたら、結構芽があります。そしたら、やってみることです。仮に思えないとしても、一回やってみるということです。やってみると面白くなったり、醍醐味が分かったりするかもしれないので、メッセージとしてはとにかく可能性があるものはやってみるということです。

無駄を覚悟でやる

三浦 :自分の強みかなと思ったら、それに関連することをやってみて、自分がそのとき何を感じるかを体感してみる。失敗する場合もあるけど、やったことによって学べることはありますし、でないと本当の強みは見えてきません。強みは降ってきたり、チャートをつくれば出てくるとか、そういうものではなくて、何かヒントがあれば、それに関することを考えてやってみるということが大事です。この辺も、インスタントなものを求めないということです。

小林 : 簡単に強みが見つかって、磨かれて、一流になれるというわけではないですね。

三浦 : 本を読んで、ちょっとワークをやったぐらいでは見つからないです。でもそこにヒントがあれば、いろんなことをいろんな角度でやってみる。そしてようやく見つけていけるものです。僕は実践主義者なので、やって見つけていくことの価値がすごく大きいと思います。多くの人はそこを最大効率でやろうとする。「最大効率はどれかな?」と言ってる間に、時間は過ぎていきます。でも成功する人というのは、どんどんやって、見つけていく。インスタントな成果をすぐに求めるというマインドでやると、いつまでたっても見つからなかったりします。

言い方を換えると、無駄を覚悟でやるということがすごく大事だったりします。賢い人はすぐ効率ということを言ってしまいますが、結局それで遠回りしちゃうというのが僕の印象です。いろんなことをやり続けることが、見つけることの近道だったりします。無駄が出ているように思うかもしれないけど、それもいろんな経験になるわけです。僕がおすすめするのは、フィードバックをもらって、「これは自分の強みかな?」と思ったら、それに関することをいっぱいやってみること、無駄をしてみる。そうやってつかんだ強みは本物です。本物をつかまなかったら、本物にはなれません。

小林 : いろんなフィードバックを受けて、自分の強みに気付くということと、無駄を覚悟でいろんなことをやってみる。楽しい感覚がありそうであれば、それをやってみるということですね。

三浦 : その経験は無駄にはなりません。賢くうまくやろうとしない。自分の本能を大事にして、「本当は何がやりたいのか」と自分にどんどん聞きながらやっていく。強みにしても、目的にしても、深いもの、本当のものを見つけないと、多少のことで成功しても、あまり満足感を得られなかったり、その成功が長続きしなかったりします。僕はとにかく続けることが大事だと思います。一回成功するのは誰でもできるけど、続けて成功するのは大変ですよね。そのためにはインスタントのものを求めていたらできない。無駄や回り道に思えることも、自分の感性を頼りにしながらやり続けてみる。そのほうがトータルで見ると有意義だと思います。

これは僕の考えですが、あまり短期間で成功しないほうがいいと思っています。試行錯誤があったり、それを見つけるいろんな努力があって成功したもののほうが、深いものになるし、長く続くものになるので、長期スパンでものを考えることが大事だし、その期間をいかに楽しむかということです。だからこそ自分が楽しめるもの、取り組めるものを見つければ、回り道をしていても楽しいわけです。

「自分で変わったんだ」を起こす最高のサポート

小林 : 三浦さんの習慣力というのは、自分の人生を楽しく幸せなものにするベーシックなスキルだなと思います。最後に三浦さんのビジョンや、どうすれば三浦さんの活動に触れられるのかもお聞きしたいと思います。

三浦 : いろんなことをやっていますが、習慣でいえばオンラインサロン。あとは集合型の塾もやっています。両方とも目的は、「自分が変化を起こしたんだ」と思えるようなものです。「三浦に言われたからこうだ。三浦に指導されたからこうだ」ではなくて、「自分が変化を起こしたんだ」というものをつくるためのもの。コーチングもそうです。「コーチのおかげで変われた」のではなくて、「コーチがサポートしてくれて、自分の力で変わった」という人が一番強いです。そのほうが自己肯定感も自信も持てます。オンラインサロンにしても塾にしても、「自分で変わったんだ」ということを起こすための最高のサポートをするというやり方です。

集合型塾は今月から3期が始まりますが、1年1期のペースで、10何人の単位でやっています。オンラインサロンはオンラインもありますが、1、2カ月に1回、みんなでオフ会したり、遠足に行ったり、塾生のシークレットセミナーをやったりしています。

小林 : どんな人が参加されていますか。

三浦 : いろんな人がいます。僕の場合、不思議なぐらい男女バランスがよくて、偏っていません。普通のサラリーマンの人から、社長さんまで、いろんな人がいます。来ていただく方は、人生の変換期にある人が多いです。独立しようとか、転職しようとか、今までプランしていたことを実行しようとか、そういう変換期のときに来てくれる人が多いです。

小林 : それは、何か変化を起こそうと決めて、その精神的サポートとして、塾やサロンの存在がありがたいということですか。

三浦 : サポートというところもありますが、多くの人は土台をつくりたいんです。人生を自分でつくっていくための強固な土台が必要なので。毎日の行動がしっかりしていれば、長きにわたって繁栄します。人生いいときはいいですが、落ちたときにどう向き合えるのかというのが大事なことで、僕は習慣を通じて、落ちたときにどうするかということをやります。落ちたときに自分が揺るがずにいれるとか、その中でも楽しみ方を見出せるとか、これが一番重要なところになります。

小林 : それは最近の本の自己肯定感が使えますよね。

三浦 : そこにも関わってきます。

一流の人とは?

三浦 : 講座では「一流の習慣をつけましょう」と言ってます。一流の定義は何かというと、高いクオリティーを出すだけではなく、一流の人というのは、高いクオリティーを常に出せる人です。二流の人は、あるときは高いクオリティーを出すけど、あるときは低い。三流の人はずっと低い。一流の人というのは、高いクオリティーを継続して出せる人です。そういう人だと、安心できますよね。落ちているときにも高いクオリティーを提供できるというのが、僕が提供していることです。そういう力をつけたいという方がいらっしゃっています。

小林 : それは一流の習慣をつける塾ですか。

三浦 : 集合型の塾のほうです。3カ月ぐらいの単位でやります。 あと、よいコミュニティーをつくりたくて、よいコミュニティーの中でみんなが切磋琢磨して、よい人生をつくっていく。塾の1期生、2期生はずっと連絡取り合ってますし、Facebookも塾が終わってもやってますし、みんな集まってます。

将来の展望としては、こういうものを広げていきたいし、海外でもやりたいと思っています。よいコミュニティーの中で刺激し合って、自分で人生をつくっていく、自分で決めていく。失敗しても自分で決めるから納得感がある、そういう人生にしてほしいと思っていて、そのお手伝いをするのが自分の仕事だと思っています。

小林 : 連続的にキャリアを波乗りのごとく変化させていく時代に、そういったオンラインサロンや塾というコミュニティーがあると、面白いなと思いました。

三浦 : いわゆるサードプレイスと呼ばれる大切なもので、ハーバードの研究でも幸せとすごく関係しているということがあって、それにはそのコミュニティーが質の高いものであることが大事で、質の高いコミュニティーをつくることが自分の使命だと思っています。実際に今、僕がつくっているコミュニティーは、本当に皆さんの質が高くて、荒れるなどということはなくて、誰かに何かあると自己開示が起こったりします。

要は、自己開示ができる場ということです。そうすると周りの人が勇気づけてくれたり、アドバイスをくれます。皆さん、オアシスと呼んでいますが、ここに行くとエネルギーがたまりまくって、現実の厳しい世界に向かえるというところでもあります。

いいコミュニティを作るには?

小林 : そういうオアシスが本当に勇気になりますね。いいコミュニティーをつくっていくには、どうすればいいですか。

三浦 : なぜ僕がいいコミュニティーをつくることに、力を発揮できているかというと、さっき言ったように自分の失敗があるからなんです。

小林 : 組織の時代の経験ですよね。

三浦 : 「こうなると、ひどい状態になる」という痛い目に遭っているわけです。これは本当に貴重な経験で、やくざが牧師になるみたいな、それに近い世界だと思います。さっきの強みの話で出ましたが、自分がへこんでいるところは、全て使えるんです。強みばかりに注目するかもしれませんが、弱みや駄目なことというのは、実は自分のパワーになります。駄目だからこそできない人の気持ちが分かるとか、駄目だからこそどうしたらいいか考える。

もともと私が習慣についてやったのは、私が物事を続けられない人間だったからです。僕は習慣の天才ではないです。習慣をどうやって続ければいいかというメカニズムを研究したわけです。強みだからできるのではなくて、弱みだからできているんです。僕が天才的に習慣がつけられる人間だったら、こんな本を書いてません。できる人間であれば、「なんで、できないの?」と思うわけですから。でもできないから。僕は本当に続けてできない人間で、通信教育の添削なんて終わった試しがないです。だからこそ続けるためにはどうしたらいいかというメカニズムを考えて、サイエンスで妥当性と再現性を考えて、できないからこそこれができたわけです。

小林 : 習慣化できない、行動化できない人の気持ちにも寄り添えるし、どうしたらいいかというサイエンスも体系化されている、というわけですね。

三浦 : 自分が一番いい実験台になっているわけです。できない人間ができるようにするためには、どういうメカニズムでやればいいのかというと、多くの人間はできるものをつくりあげますよね。強みも大事ですが、自分の弱みというものも使えるということです。

小林 : 自分がへこんでいるときや、駄目だなと思うときは、むしろ「来た来た」ぐらいの感じですか?

三浦 : いかに使うか。アドラー心理学のアドラーが言ってるのは、与えられたものをいかに使うかということです。

小林 : これは弱みだから切り捨てたいといって捨てるのではなくて。

三浦 : アドラー心理学は、使用の心理学ともいわれています。強みをいかに強みとして使うか、弱みをいかに弱みとして使うか。ある意味、弱みである理由があるわけです。弱みとして嘆いたり、自己否定するのではなくて、「この弱みは、何かに使えるはずだ」と。

小林 : その発想はなかったです。というか、自分の弱みや嫌だなと思うことには、ふたをしていました。ふたを開けてみようとは思いませんでした。

三浦 : 自分の弱みを認められるようになると、何が起こってくると思いますか。弱いよね、うん、弱い、だからその弱さを使おう、使えばいいんだから、と思うと何が起こってきますか。

小林 : 人にお願いするとか?

三浦 : そういうことができます。それで、自己肯定が起こってきます。

小林 : 「弱くていいじゃん」となったら、自分はOKとなるんですね。そういう視点はなかったです。

三浦 : 自己肯定感をつけるために、人間って自信をつけようとしますよね。どんどん牙を研ごうとしますよね。ただ、できる自分だけを認めるという状況にいたら、いつまでたっても自己肯定感はつきません。いくら牙を研いでも、その上をいく人間は、世の中にはいくらでもいるわけです。自己肯定感が永遠につきません。

小林 : 自己肯定感と他者肯定感のあるコミュニティーなのか、強くてできる人はOKとあまりにもしすぎてしまうと、かなり殺伐とした、うまくいってないときはコミュニティーに来てはいけないのではないかと。

三浦 : そうなりますよね。僕のコミュニティーは見てていいなと思うのは、弱みをどんどん言えるんです。

小林 : そういうときこそ、コミュニティーの存在ですよね。

三浦 : 人間って自己開示しちゃうと、もうそれは弱みではなくなります。弱みというものを見ているから。認めていないと自己開示できません。この場で初めて話を聞いた人に、「三浦さんって習慣力とか言いながら、そういうことできない人なんだと思われるの嫌だ」と思うと言えないですよね。でも全然言えるんです。

なぜなら僕は、もともとそういうことができない人間だと、自分に対してOKを出してるから。だからこそこれができているというぐらいの自分があるし、むしろできていたらこの本を書けなかったというのがあるから。自分に天才性があるものは使えばいいし、そうではないものは、いかにそれを使用するかということです。

小林 : 幸せが今あらためて注目されていると思いますが、自分の強みも弱みもOKというところに幸せな人生があるなと思います。そういうコミュニティーは、幸せで楽しいコミュニティーなんだろうなと思います。

幸せの3原則

三浦 : アドラーが言っている幸せの定義、有名な3原則というのがあって、一つ目は自己受容、自己肯定をしていること。いくら稼いでお金を持っていて、成功していても、自分は駄目だと言っている人と、いい感じでやっていて自分はOK、弱みもOKと言っている人と、どちらが幸せかということです。自分を受け入れているかどうかということです。そういう人はおのずと人に貢献できるから、お金も稼げるわけです。

それがベースにありながら、二つ目には他者信頼というものがあります。すごく成功してお金を稼いでいても、周りにいる人間が信用できなかったら幸せですか。いつ裏切られるか分からない。このコミュニティーは相互信頼ができているから、自己開示ができるわけです。相互に信頼ができている場があるというのは、すごく大事なことです。

三つ目は、他者に貢献できているかどうか。自分が人に役に立っている感覚があるというのは、人間の最強の幸せ感です。仕事ってまさにそれじゃないですか。よく「ありがとうと言われる仕事がやりたい」という若者がいますが、役に立っている感覚があるというのは、すごく幸せだし、しかも役に立っていれば、それだけの報酬をもらえますよね。仕事が楽しかったり、仕事から幸せを感じられたら、これほど最高のものはないです。しかもお金までもらえる。

僕はそういう感覚が大事だと思います。「お金稼ぐぞ」という気持ちもモチベーションとして重要ですが、いかに人に貢献できる自分になるかというところを突き詰めていき、そこのクオリティーを上げれば上げるほどお金を稼げるということです。

小林 : 自己肯定、他者信頼、他者貢献を、僕もコミュニティーのリーダーとしてもっと強化していこうと、今あらためて思いましたが、こういう感覚がある人はコミュニティーの中で、どんどん自分のビジネスを開いていってますね。

三浦 : 今、オープンの時代ですし、昨日まさにトヨタがハイブリッドの特許を開放しましたが、さすがだなと思いました。自分の繁盛だけでやるのではない時代になってきていて、オープンにして、みんなで盛り上げていこうぜということができる人間が、おのずと成功するいい時代になってきたと思います。

小林 : 今までは金融資本主義で、お金で次のお金を増やすという、お金という資本がベースだったと思いますが、これからは財務諸表に載らないような信頼資本だったり、知識資本だったり、しかもお金は人にあげるとなくなりますが、知識や人脈というのは、減るどころか、シェアすればするほど増えていくので、オープンにシェアしていくと、結果的にみんな豊かになりますね。

三浦 : それをどんどんやることです。それをやるために自己研鑽を繰り返すことが大事です。「ここはもう、自分はやったから開放するよ。自分はその上に行くから」ということをやっている人は、どんどん開放できるわけです。一番かっこいいですよね。言葉で言うのは簡単ですが、それをいかに目指していくかということが、本当の成功ではないかと思います。

小林 : 常にアップデートされている三浦さんに触れるというか、そういう研鑽の場の一つが、オンラインサービスですね。

三浦 : 今、コーチングの新規はお受けできない状態ですが、月に2、3件だけ、単発はさせていただいてます。

小林 : 単発でも自己変容が起こりますか。

三浦 : きっかけにはなります。

小林 : 三浦さんと接点を持つとしたら、コーチングや一流の習慣塾や、オンラインサービス。

三浦 : メルマガもやっています。

小林 : 詳細のホームページのリンク先は、動画の下に掲載しますので、ぜひご覧ください。何冊も本を書かれて、企業のコーチングもされて、継続的にキャリアを開いていかれてますが、プライベートは無邪気な感じで楽しく幸せな人生を過ごされているなと感じました。

そういう三浦さんの思考や行動をトレースして、少しでも学び取れたらなと思いました。幸せに楽しく、自分のやりたいことをかなえていく考え方や方法論を教えていただきました。僕もあらためて著作を読ませていただいて、オンラインサロンものぞいてみます。今日はありがとうございました。

 

三浦 : ありがとうございました。