効果を最大化させるフィードバックのやり方とは?基本からNG例まで

最終更新日:2020年9月10日

「きちんとフィードバックしているつもりなのに、部下の反応が悪い。部下の能力を伸ばすやり方はあるのだろうか?」
「そもそもフィードバックとは何だろう?自分のやり方が正しいのか分からない」

あなたは今このようにお考えでしょうか。

フィードバックとは、相手にとって耳の痛い事実を客観的に伝え、成長を立て直すために行うアドバイスのことです。

人材開発の第一人者である中原淳教授は「フィードバックこそが最強の部下育成方法」であると、自著で明言しています。

フィードバックは部下やメンバーの能力を最大限に引き出すことができる反面、正しく行われないと効果が出ないものです。ビジネスの場で日常的に使われているにもかかわらず、フィードバックの正しいやり方を知っている人は意外と少ないのが実情です。

そこでこの記事では、フィードバックの基礎知識やフィードバックの基本的なやり方を詳しく解説します。

さらにフィードバックの応用的なやり方や効果を上げるコツ、やってはいけないNG例などもご紹介しますので、記事を読み終える頃には、あなたはフィードバックを完璧に理解し、「効果の出るフィードバック」が実践できるはずです

1. フィードバックをする前に知っておくべき基礎知識

フィードバックをする前に知っておくべき基礎知識

まずはフィードバックのやり方を学ぶ前に、基礎知識を理解しましょう。

  • そもそもフィードバックとは何なのか?
  • フィードバックにはどのような効果があるのか?

最低でもこの2つを正しく知っておかないと、効果的なフィードバックはできません。
どんなに役立つアイテムでも、ただ持っているだけでは使いこなせないものです。
ですから、フィードバックの効果を高めるためには、基礎知識を押さえておくことが大切です。

「基礎知識については勉強済みで、基本的なことは分かっている」という方で、「具体的なやり方をすぐに知りたい」という方は、2章【基本編】フィードバックのやり方|5つのプロセスへお進みください。

1-1. そもそもフィードバックとは?

ビジネスにおけるフィードバックとは、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」。人材開発の第一人者・立教大学 経営学部の中原淳教授は、自著でこのように定義しています。

具体的には、以下の2つを働きかけて、部下(相手)の育成を目指します。

情報通知
たとえ相手にとって耳の痛いことだとしても、言動などに対する情報や結果を客観的に伝えること

 

立て直し
フィードバックされた相手は自己の言動を認識し、振り返りを行う。フィードバック者は相手の今後の行動計画を立てる支援を行う行動の軌道修正・動機付け

フィードバックは、上司と部下の間だけでなく、チームやプロジェクト内、また社外で行われるものも含みます。

さまざまなビジネスシーンで使うからこそ、正しいフィードバックの方法を知ることが大切なのです。

1-2. フィードバックの効果

フィードバックで期待できる効果は以下の2つです。

  • パフォーマンスの向上
  • モチベーションの向上

前述した通り、フィードバックは①情報通知と②立て直しの2つの要素で構成されていましたね。この2つを行うことで、パフォーマンスやモチベーションの向上につなげることができます。

情報通知 ・現状の把握
・認識のすり合わせ
・問題点の抽出
②立て直し ・ミスやトラブルにつながる問題を事前に指摘
・問題解決への軌道修正策を具体的に作成

これを適切に行うと、以下の結果を得ることができます。

パフォーマンス向上 ・やるべきことが具体化&明確化
・常に「どうすれば最善か」を考えながら物事に取り組める
モチベーション向上 ・目標が達成できる
・目標達成を上司が見守り、サポートしてくれる
・定期的なフィードバックで当事者意識を高める

あなたのフィードバックの質が高ければ、部下は『自分のことを気にかけてくれている。期待に応えなければ』と頑張る原動力にするはずです。しかし、あなたのフィードバックの質が低いと、『嫌だ。適当に済ませたい』とネガティブに受け止められ、効果が出ないので注意しましょう。

1-3. フィードバックには2つのやり方がある

フィードバックには、次の2つのやり方があります。

基本的なフィードバック
(ネガティブフィードバック)
問題点を指摘して、立て直しをサポートする
ポジティブフィードバック ポジティブな言葉でモチベーションを引き出し、成長を促す

相手に対して真逆のアプローチをする2つのやり方ですが、ビジネスシーンでは問題点を指摘する基本的なやり方が多く用いられるようです。

「どちらがより効果的なやり方なの?」と疑問を抱く人もいるでしょう。
これについては研究者の間でも見解が分かれるところで「どちらの方法がより優れている」とは言えません。

フィードバック対象者のタイプやシチュエーションによって、どちらのやり方でフィードバックを行うか決めるといいでしょう。

まずは基本的なフィードバックについて学んでいきます。ポジティブフィードバックのやり方は3章で詳しく解説していきますね。

2.【基本編】フィードバックのやり方|5つのプロセス

【基本編】フィードバックのやり方|5つのプロセス

まずはフィードバックの基本的なやり方をしっかり押さえておきましょう。
部下の最強育成に不可欠なフィードバックのやり方は、次の5つのプロセスを踏む必要があります。

フィードバックの基本・5つのプロセス

ご自身の実際のやり方と照らし合わせてご覧になってくださいね。

プロセス①事前に情報収集をする

フィードバックに絶対欠かせないのが、事前の情報収集です。
不確かな情報をもとにフィードバックし、事実誤認のまま指摘をしてしまうと、業務に支障が出るだけでなく信頼関係を失うことにつながります。

まず大前提として、フィードバックは「できるだけ具体的な指摘」でなければいけません。ですから情報収集が不十分な状態では効果的なフィードバックはできないということを覚えておきましょう。

では最大限の効果を引き出すフィードバックに必要な情報とは何なのでしょうか。
効率的に情報収集するためには、相手の言動を徹底的に観察し「SBI情報」と呼ばれる3種類の情報を集めましょう。

<SBI情報とは?>

S(Situation)シチュエーション どのような状況で、どのような状態のときに……
B(Behavior)行動 どのような言葉が、どのような行動が……
I(Impact) 影響 どのような影響があったのか……

イメージしやすいようにSBI情報の具体例を紹介します。

S(Situation) 先週依頼した納品書だけど
B(Behavior) 君が約束の期日までに作成して、先方に送付しなかったことで
I(Impact)  先方からクレームの電話がきているよ

以下は同じ内容のOK例とNG例です。

OK例

S(Situation) この3ヶ月の契約件数だけど
B(Behavior) 外回りの新規訪問件数が1日5件未満と以前の半分以下になっているね
I(Impact)  契約件数が半年前より5割近く下がっているよ

NG例

S(Situation) この3ヶ月の契約件数だけど
B(Behavior) 外回りの新規訪問件数が1日5件未満なんて、信じられないくらい少ないね
I(Impact)  契約件数が半年前より5割近く下がって、どうするつもりだ

このように同じ内容でも、主観が入るとパワハラと受け止められやすくなります。フィードバックとしても完全にNGなので気をつけましょう。

プロセス②フィードバック開始:相手に情報を通知する

SBI情報の収集ができたら、相手にフィードバックを行います。
この時に重要なのが、次の2つをしっかりと伝えることです。

冒頭でフィードバックの目的をストレートに伝える
あなたがフィードバック対象者に何をしたいのかを述べる

それぞれ例文を見ていきましょう。

冒頭でフィードバックの目的をストレートに伝える

例文:
「今日は君の仕事のやり方で、私が気になっている点について話したいと思う」
「最近、営業成績が伸び悩んでいるね。私は君の営業のやり方に少し問題があると思っている」

あなたがフィードバック対象者に何をしたいのかを述べる

 例文:
「話し合って問題点がないか一緒に確認しよう」
「どうすれば改善できるのか一緒に考えよう」

冒頭でフィードバックの目的を伝え、共に改善していく姿勢を見せることが大切です。

目的を話したら、次は集めたSBI情報を客観的な事実として相手に伝えていきます。

ここでのポイントは、主観を完全に排除し、とにかく正確に事実を通知することです。
「私には~のように見える・思える」という、私を主語にしたI(アイ)メッセージで伝えるのがコツです。

例:日報に疑問点がある場合

NG「君は日報にウソを書いているのではないか?」
OK 「私には君が日報に正確な情報を書いていないように思える」

Iメッセージで伝えると主観的になりにくいという特徴があります。
相手も「でも自分は~のように考えていた」と反論する余地があるため、指摘を素直に受け止めてくれやすいでしょう。

プロセス③問題点や改善点を明確にする

次は通達したSBI情報について、認識のすり合わせをしていきます。
もしかしたら、問題だと思っているのはあなただけかもしれませんし、相手には相手の言い分があるはずです。

ここでのポイントは、きちんと相手の話を聞いた上でジャッジメントをすること
あなたが伝えたSBI情報について、相手がどのようにとらえているのかを以下の2点を押さえて聞きます。

何が起こったのか?
なぜなのか?

この2つをヒアリングすることで、相手は「そうか、確かに」と指摘に納得ができるでしょう。
私たち人間は、自分が納得しないことに対して行動を起こしません。
フィードバック対象者の行動をより良い方向へ導くためには、指摘や問題点に対してしっかり腹落ちさせることが大切です。

プロセス④ショートゴールを設定する

両者の間で問題点の共通認識ができたら、ショートゴールを設定します。
フィードバック対象者が「これからどうすればいいのか」を考えていくのです。

ここでのポイントは、あなたが一方的にショートゴールを設定しないこと。
一方的に押し付けられた改善策では、部下は納得しませんし、モチベーションも上がりにくいものです。

ですから、ショートゴールは部下自身が設定します。あなたの役割は助言とサポート役であると心得ましょう。

例:納期を守らない部下

NG「作業の見積もりが甘いから、君だけすべて2日前倒して作業しなさい」
OK「どうすれば納期を守れるだろう?」と言い、複数の対策を考えてもらう。
       ⇒その中で部下自身に選ばせる

最後に部下が気持ち良くショートゴールに向かっていけるよう、「期待しているよ」「いつでもサポートする」など、自分は部下の味方であるというメッセージを伝えて送り出しましょう

一旦ここでフィードバックは終わりますが、これで完了したわけではありません。
フィードバックは次のプロセスである「フォローアップ」を行うことで完了となります。

プロセス⑤フォローアップをする

フォローアップとは、フィードバックでの指摘が改善されているかをチェックし、必要に応じてフォロー・軌道修正することです。

残念ながら、フィードバックした内容が一度で改善されることは少ないものです。
定期的に状況を確認して、少しでも行動が改善していたら承認していきましょう。

もし変化が見られない場合は、ショートゴールを思い出させるように積極的に声かけを行います。また、業務状況などにより、方向性が変わった場合には、軌道修正してあげることも大切です。

フィードバックの内容にもよりますが、週に1回は進捗確認するといいでしょう。

【基本編】フィードバックまとめ(やりとり例)

基本的なフィードバックのやり方が分かったら、最後に例文で全体像を把握しましょう。

上司と部下のやり取りから、フィードバックの流れが分かるようになっていますので、ぜひおさらいしてくださいね。

<広告営業の上司と部下の例文>

上司 「今日は君の営業成績について話したいと思う。私は君の営業方法で気になる点があるんだ。どうすればもっと良くなるか一緒に考えよう」
部下 「はい(嫌だなあ……)」
上司 「ここ半年間の君の営業成績は、昨年度の6割未満と大きく下がっている。これはどうしてなのか説明してもらえるかな?」
部下 「ええっと……。自分なりに頑張っていたんですけど」
上司 「そうか。君の売上表を見ると、既存のお客さんからの受注が減っているんだ。何かあったのかな?なぜお客さんはいつものように発注してくれなかったのだと思う?」
部下 「別の会社が似たような商品をウチより安く売っています。お客さんからは『少しでも安い方がいいから』と断られたことがありました」
上司 「価格勝負で負けた、ということか。君はどう思う?ウチの商品はライバル社に劣ってるかな?」
部下 「いえ、価格以外は負けていません」
上司 「そうだね。ライバル社のクォリティはハッキリ言ってウチの半分以下。効果も出ないから、いくら価格が安くてもコストパフォーマンスとしては最悪だ。でも君は奪われてしまった。何が違っていたのだろう?」
部下 「顧客との信頼関係、でしょうか?」
上司 「その可能性はあるね。信頼関係を築くにはどうすればいいかな?」
部下 「もっと密に連絡を取るとか?」
上司 「今はどれくらいの頻度で連絡しているの?」
部下 「月初めと月末です。ちょうど発注のタイミングなので。でも、ライバル社はもっと頻繁に通っているかもしれない」
上司 「うん。発注のタイミングだけ声をかけられるのは、あまり良くないね。ただ、連絡するには口実が必要だけど。相手が君に会いたくなるような話って何だろう?」
部下 「同じ業種の広告実例を持参するとか?売上アップにつながる情報を提供するとか。それにウチのコスパの良さを話す」
上司 「それはいいね。ウチに費用対効果の実例がたくさんあるから使っていいよ」
部下 「ありがとうございます!今週中に作って、来週お客さんのところを回ってきます」
上司 「君ならできるよ!何かあったら遠慮なく相談してくれ」

3.【応用編】ポジティブフィードバックの方法

【応用編】ポジティブフィードバックの方法

本章では、2つ目のフィードバックのやり方である「ポジティブフィードバック」についてお話していきます。最初に「ポジティブフィードバックとは何か?」について理解してから、具体的な実践方法について解説していきますね。

3-1. ポジティブフィードバックとは?

ポジティブフィードバックとは、フィードバック対象者の言動に対して「良い点・評価すべき点」だけを話し、ひたすら相手を褒めてやる気にさせる方法です。

褒めることで前向きな気持ちにさせるのですから、使用できるのはポジティブな言葉だけ。否定やネガティブな意味を持つ発言は厳禁です。

ポジティブフィードバックのメリットとデメリットは以下の通りです。

ポジティブフィードバックのメリット ・モチベーションが向上しやすい
・フィードバック者と対象者の間に摩擦が生まれにくい
人間関係に支障が出ない
ポジティブフィードバックのデメリット ・能力の向上や改善につながりにくい
フィードバックの意味がない可能性もある

3-2. ポジティブフィードバックの方法

ポジティブフィードバックは、次の3つのプロセスで行います。

プロセス①事前に情報収集をする
プロセス②事実に基づき、良い言動とその結果を具体的に伝える
プロセス③自分が何を期待しているか明確に伝える

プロセス①の事前の情報収集は、基本のフィードバックのやり方と同じです。
したがって、次項よりプロセス②と③について具体的に説明していきます。

プロセス②良い言動とその結果を具体的に伝える

ポジティブフィードバックは、事実に基づいて、良い言動とその結果を具体的に伝えます。

例:企画書が良くできている

NG「君が作成した企画書だけど、評判がすごくいいよ!さすがだね」
OK「君が作成した企画書だけど、情報がしっかりまとまっていて分かりやすいね。
        過去の事例も盛り込まれているから、お客様もイメージしやすいと思うよ」

例:チームの雰囲気を良くしてくれている

NG「君がいると、チームの雰囲気が良くなるから助かるよ」
OK「チーム内で君が積極的に発言したり、アイディアを出してくれることで、
   チームの雰囲気が良くなっていると感じているよ」

フィードバック対象者が「自分のどの言動が良かったのか」が分かるように、具体的に言ってあげましょう

ここで気をつけたいのが「とにかく褒めなければ!」と当然のことを評価したり、結果に対して過剰に褒めたりすること。見え透いたヨイショは、すぐにばれますし「バカにしているの?」と不信感を抱かれる恐れがあります。

ポジティブフィードバックを単なる「ご機嫌取りの場」にしないためにも、事実を具体的に褒めることに徹しましょう。

プロセス③自分が何を期待しているか明確に伝える

評価すべき言動について褒めたら、次は自分がフィードバック対象者に対して「何を期待しているのか」を伝えます

具体的には以下の例文をご覧ください。

①「基本だけでなく、しっかり+αの情報も盛り込んだ資料が作成できるようになったね。今後もこの調子で頼むよ」

良い言動を今後も継続することを期待している

②「このレベルの資料なら、プレゼンで大きなミスをしない限りは案件が獲得できるだろう。念のため、課長にプレゼンを見てもらうといいよ」

良い言動を評価しつつ、更なるスキルアップを期待している

このように今後希望する姿を明確に伝えることで、フィードバック対象者は「自分は期待されている」「自分は認められている」と実感できます。「もっと頑張ろう」とモチベーション高く業務にあたれるよう、背中を押してあげるのがポジティブフィードバックなのです。

【応用編】ポジティブフィードバックまとめ(例文)

ポジティブフィードバックのやり方が分かったら、最後に例文で全体像を把握しましょう。
上司と部下のやり取りから、フィードバックの流れが分かるようになっていますので、ぜひおさらいしてくださいね。

<販売店に勤める上司と部下>

上司 「君は商品説明がとても上手だね。商品ごとに分析ノートを作っているからだと思うよ」
部下 「ありがとうございます!」
上司 「君の分析ノートには、商品の良いところだけじゃなく、マイナスポイントもしっかり書かれているね」
部下 「良いところだけ伝えるのは、お客様にとってフェアじゃない気がして。それにマイナス点もきちんと分析すると、お客様によってはマイナスにはならないことが分かりました」
上司 「さすがだね。最近の売上アップも頷けるよ。ただ、君の分析ノートにライバル商品との比較もあるともっといいと思う」
部下 「確かにそうですね!その方がお客様に説明しやすいです。やってみます!」
上司 「売上ベスト10に入る日が近いよ、きっと。君には期待しているよ!」

4. 効果を最大化するために絶対に守るべき5つのポイント

効果を最大化するために絶対に守るべき5つのポイント

ここまでで、基本的なフィードバックのやり方とポジティブフィードバックの方法が分かったと思います。
本章では効果的なフィードバックにするために絶対に守ってほしい5つのポイントをお伝えしていきます。

ポイント① 信頼関係を構築しておく
ポイント② フィードバックは1対1で行う
ポイント③ 相手をリスペクトする
ポイント④ 相手の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作る
ポイント⑤ 具体的に話す

いずれも人間性が出る部分ですから、小手先のテクニックで対処しようとすると失敗しがちです。相手の心に届き、スムーズに行動を起こせるようにするには、5つのポイントを必ず守りましょう。

ポイント①信頼関係を構築しておく

1つ目のポイントは、あらかじめ信頼関係を構築しておくことです。
フィードバックは信頼関係がなければ、効果的に作用しません。
なぜなら、フィードバックは「何を言うか」だけでなく、「誰に言われるか」が非常に重要だからです。

信頼関係がない相手からの苦言は、「うるさいな」「だから何?」「あなたに言われたくない」などと、煙たがられるだけで、真剣に耳を傾けてもらえません。こんな関係性ではフィードバックにならないですよね。

とはいえ、信頼関係は一朝一夕で構築できるものではありません。
コミュニケーションは質より量が大切と言われますから、常日頃からオープンマインドで以下の行動を心がけるといいでしょう。

信頼関係構築につながる行動

・名前を呼び、顔を見て挨拶する
・褒めるべき点はしっかり褒める
・毎日一言二言、声かけをする
・話を聞く時は、相づちを打ったり、4S(「すごい」「さすが」「すばらしい」「そうきたか」)等のリアクションをする

ポイント②フィードバックは必ず1対1で行う

耳の痛い話は誰だって周囲に知られたくないですよね。したがって、フィードバックは原則として1対1で行いましょう。これは相手のプライドを傷つけないためにも、必ず守ってください。情報が漏れないように、他者の目につかない場所・個室で行うのがベストです。

フィードバックをする際に深刻な顔で呼び出すと、相手は身構えますし、周囲も「何かあったの?」と不思議に思います。相手のメンツをつぶさないように、「ちょっといいかな?」と気軽な感じで呼び出す配慮も必要でしょう。

ポイント③相手をリスペクトする

3つ目のポイントは相手をリスペクトすることです。
ここでいうリスペクトは「すごい!素晴らしい!」と褒め称え、尊敬することではありません。「いろいろな考えがある」「いろいろなタイプの人間がいる」と相手を尊重する姿勢のことです。

SBI情報を収集しているうちに「どうしてこんなこともできないのだ!」「だらしがない」などと腹が立つこともあるでしょう。怒りや呆れの感情を抱えたままでは、フィードバックはできません。
いくら客観的に事実を伝えようとしても、言動の端々にマイナス感情が表出してしまうからです。

客観性を失ったフィードバックは効果が出ないばかりか、上司と部下の関係に悪影響を及ぼす恐れもあります。

「どんな相手にも考えや言い分があり、それは自分と異なることがあっても当然だ」と認めること。誰だって「自分はリスペクトされていない」と感じた瞬間に心を閉ざしてしまいます。リスペクトできない相手に対しては適切なフィードバックは行えないということを肝に銘じておきましょう。

ポイント④相手の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作る

突然上司から呼び出されると、「怒られるのだろうか」「何かしただろうか」と緊張してしまいますよね。適度な緊張感ならいいですが、ガチガチに緊張されるとあなたの言葉がきちんと届かない可能性があります。

そのため、フィードバックをする際は相手の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作ることが求められます。緊張感を和らげるためにも、フィードバックに入る前の雑談をおすすめします。

雑談内容に以下のどれかを含むと、「自分のことを見てくれている」「自分のことを機にかけてくれているのだ」と相手は感じるので、覚えておいてくださいね。

 
君のことをよく知っている ・君は〇〇が得意だね
・君の担当は〇〇だね
君のことを考えている ・君は入社〇年目だね
・君はマネジメントスキルを磨きたいんだよね
君に関心がある ・君は〇〇の資格取得を希望しているの?

また、緊張は座る位置によっても和らげることができます。
机をはさんで斜めの関係になるように座るのがおすすめです。相手の正面に座ると敵対関係になりやすいとされていますので気をつけましょう。

ポイント⑤具体的に話す

フィードバックは具体的でなければ、意味がありません。
「嫌われたくない」「相手を傷つけたくない」と明言を避けていては、相手の行動改善にはつながらないからです。

抽象的な指摘には、問題点が見えにくく、改善すべき点が分からないという大きなデメリットがあります。もしあなたが「最近の部下にやる気が感じられないこと」を指摘したいのなら、「やる気が感じられない行動」について具体的に話す必要があります。

例:
NG「最近、進捗が遅れ気味だけど、計画性が足りないでは?」
OK「この進捗が1週間遅れているけれど、どのように考えているの?」

具体的に話すことで双方の認識のズレを防ぎ、認識のすり合わせもスムーズに行えるでしょう。

5. フィードバックで絶対にやってはいけない5つのNG行為

フィードバックで絶対にやってはいけない5つのNG行為

ここでは、フィードバックで絶対にやってはいけないNG行為を5つご紹介します。
フィードバックの効果を最大化させるためにも、必ず守ってくださいね。

NG①自分の責任を回避するようなスタンスを見せる

1つ目のNG行為は、部下から嫌われたくない一心で、自分の責任を回避するようなスタンスを見せることです。
上司が「自分の責任でないけれど、とりあえず伝える」という姿勢だと、部下は「上司の本心は別なのかもしれない。上司も言わされているだけみたいだし、僕も適当に受流そう」と行動改善につながらない恐れがあります。

例:
・〇〇だから、私が仕方なく言うんだけどね
・上からの指示だから、伝えるね
・会議で決まったことだから
・会社の方針だからね

例にあるように、あなたの意思ではなく会社や上層部の決定で決まったことならば、部下に分かるように自分の言葉でその旨を伝えましょう

会社の方針や背景、目的などを具体的に話し、「行動を変える必要がある」ということを理解させることが重要です。

NG②1回のフィードバックで複数の指摘を入れる

2つ目のNG行為は、1回のフィードバックで複数の指摘を入れることです。
過去の出来事も併せて指摘してしまうことがありますが、相手からしてみたら「その時に言ってよ」「今さら言われても」という気持ちになるもの。

基本的に1回のフィードバックで入れる指摘は1つと心得ましょう。
ただし、フィードバック対象者が自分から「そういえば、あの時のあれも……」と話したものに関しては、一緒に解決策を考えましょう。

過去の問題点について、あなたからほじくり返すのはマナー違反と考えて、絶対にやめましょう。

NG③人格批判や能力否定をする

3つ目のNG行為は人格批判や能力を否定することです。
たとえ人格や能力に問題があったとしても、フィードバックの場で批判することは絶対にやめましょう。
なぜならフィードバックの目的は、相手の行動を改善する方向に導くこと。人格や能力の適性について話すことが目的ではないからです。

例:
「君みたいにネガティブな性格だと、昇格できないよ。リーダーにも向いていない」
「君には〇〇の能力がないね。こんな簡単な仕事も頼めないなんて困るなあ」

上記のような表現は相手の自尊心を大きく傷つけます。フィードバックは褒めること・叱ることではありません。そのことをきちんと理解しておきましょう。

NG④ほかの社員と比較する

4つ目のNG行為は、ほかの社員と比較して指摘することです。
ほかの社員との比較は、部下の自信ややる気を奪いかねません。

例:
「後輩のA君に営業成績が抜かされているよ」
「同期のBさんは君の三倍のスピードで書類作成ができるよ」

このようなことを言われると、「自分はなんてダメなんだ」と落ち込んでしまうでしょう。
そもそも、社員は1人ひとり個性や特性が違って当たり前ですよね。であるならば、本来比較すべきは過去の自分であり、他者との比較はナンセンスです。

フィードバックで大切なのは、部下自身が自分の問題点に気づき、改善策を立てること。あなたは部下のサポート役に徹しましょう。

NG⑤無駄に褒める

最後5つ目のNG行為は、無意識でやってしまいがちな「厳しい指摘をした後に相手を褒める」ことです。自信を失いしょんぼりしている姿を見ると、ついフォローを入れたくなる気持ちは分かりますが、これではフィードバックの効果が薄れてしまいます。それどころか台無しになることも!

無駄に褒めたり、ねぎらったり、フォローを入れたりすると、優しい言葉が耳に残り、肝心の問題点や指摘事項を忘れてしまう可能性があります。
また「厳しいことを言われたけど、別件では褒められたし、そこそこに頑張ろう」と適当なところで腹落ちする恐れもあります。罪悪感で安易に褒めることはフィードバックを台無しにするということを覚えておきましょう。

6.まとめ

この記事では、フィードバックの基礎知識から2つのやり方、NG行為までご紹介しました。

最後に記事の内容をおさらいしてみましょう。

<フィードバックの基礎知識>

◎フィードバックとは、相手にとって耳の痛い事実を客観的に伝え、成長を立て直するために行うアドバイスのこと
◎フィードバックは「最強の部下育成方法」だが、やり方が正しくないと効果が出ないもの
◎パフォーマンス向上とモチベーション向上の効果が期待できる
◎フィードバックの方法は次の2種類

基本的なフィードバック
(ネガティブフィードバック)
問題点を指摘して、立て直しをサポートする
ポジティブフィードバック ポジティブな言葉でモチベーションを引き出し、成長を促す

<基本のフィードバックのやり方・5プロセス>
プロセス①事前に情報収集をする
プロセス②フィードバック開始:相手に情報を通知する
プロセス③問題点や改善点を明確にする
プロセス④ショートゴールを設定する
プロセス⑤フォローアップをする

<ポジティブフィードバックの方法>
プロセス①事前に情報収集をする
プロセス②事実に基づき、良い言動とその結果を具体的に伝える
プロセス③自分が何を期待しているか明確に伝える

<効果を最大化するために絶対に守るべき5つのポイント>
ポイント① 信頼関係を構築しておく
ポイント② フィードバックは必ず1対1で行う
ポイント③ 相手をリスペクトする
ポイント④ 相手の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作る
ポイント⑤ 具体的に話す

<フィードバックで絶対にやってはいけない5つのNG行為>
NG①自分の責任を回避するようなスタンスを見せる
NG②1回のフィードバックで複数の指摘を入れる
NG③人格批判や能力否定をする
NG④ほかの社員と比較する
NG⑤無駄に褒める

フィードバックの基本は、相手や自分と向き合うコミュニケーションです。日頃から相手に対して、どのように見ているかが重要になります。

相手の良い点や気になる点を探し、将来はどのような人材になって欲しいのか。しっかりビジョンが描ければ、あとはこの記事でご紹介した方法を実践してください。きっと驚くほどの効果が得られるはずです!

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